イモラ(2021年F1エミリア・ロマーニャGP)の予選Q1の計測1周目にクラッシュとなった角田選手。
角田選手とガスリー選手のオンボード動画をフリープラクティス、予選と拝見しましたが、あの瞬間の角田選手は少しだけブレーキを遅らせすぎたか、早めにブレーキを緩め始めたかで
車速を殺し切れていないが、ブレーキ踏力を抜きつつ旋回させていき、出来るだけハンドル舵角を入れないようにごまかしながらシケインを通過できる事を祈っていた、という感じでは無いかと思います。
結果論として、クラッシュさせない方法はシケイン通過を諦めて真っすぐ行くしかなかったと思いますが、今シーズン、そして週末を通じて、あのシケインに到達するまでの様々な流れがある中で
あの瞬間に「なんとかシケインを通過しよう」という無理をしてでも攻めることを選んだ角田選手の決断は超短期的には残念な結果へとつながりました。
では、これからの角田選手にとって今回のクラッシュを長期的には有益な結果(経験)にするために
大切なことはいったい何でしょうか?
それは1秒でも早く角田選手をサーキットへ送り出してあげる事です。
クラッシュというのは、起こしてしまうと誰しも深く落ち込むものです。
しかし、全身で感じたクラッシュの感触が肉体的に生々しく残っているうちに再び同じサーキットで同じ車で走らなければいけない状態をつくることで、肉体的にクラッシュの感触を忘れてしまい
ドライバーに精神的な傷だけを残してしまう事を避ける事が非常に重要です。
角田選手にとっての次のセッションは決勝レース。この週末にはまだもう1セッション残っていたのは幸運であり、角田選手にはこれまで通りの走りを披露して頂きたいです。
わたし自身、F1を夢見る青年時代にそれなりにクラッシュを経験してきたり 笑
現在もクライアントがクラッシュしてしまう現場を経験している身としては、世界中のメカニックの共通の思考回路は
「車をしっかり直して、このドライバーを早くサーキットへ送り出してやろう」だと、そんなことが起こる度にいつも感じています。
角田選手のメカニックにとっては出番到来の修理作業です。アルファタウリとホンダのスタッフ全員が総出で
「角田に完璧に修復したマシンを用意してやるんだ」
という思いで、今のこの瞬間もマシンの修復作業を進めている事でしょう。
5時間後ぐらいに迫った決勝レースですが特別な事は必要ありません。
角田選手はこれまで通りのルーティーンで、これまで通りの走りを貫き通すことです。
決勝レースを迎える頃のメカニックは疲労困憊で、スタートラインのレッドシグナルが消えた瞬間に、一瞬、疲れがふっと頭と体によぎると思いますが
「俺たちが直した車は大丈夫かな」という不安との戦いと、ミスが許されないタイヤ交換作業との戦いが待っています。
チームの皆さんには角田選手を無事に決勝レースへ送り出してあげられること、角田選手には良い2021年F1エミリア・ロマーニャGPになることを心からお祈りしています!
